ヒメスズメバチ
ヒメスズメバチの巣駆除
バルコニーの手すり付近
17,000円
僕たちが愛知県北名古屋市高田寺に呼び出されたのは、日が落ちる直前のことだった。空は澄み切った青を保ちつつ、ぬるいような暑さが肌にまとわりつく、そんな爽やかな快晴の日だった。依頼主は50代の女性で、旦那様と二人暮らし。彼女はバルコニーでヒメスズメバチの巣を発見し、その存在に気がついたという。
ヒメスズメバチは、その名の通り、スズメバチの中でも小柄で、しかしその攻撃性と勤勉さで知られる。彼らは他の昆虫を捕食し、農作物にとってはありがたい存在だが、やはり人間にとっては脅威となりうる。特に、この種は巣を守るためには自分の命をも顧みない。そのため、駆除には慎重さと覚悟が必要である。
発見された巣はバルコニーの手すり付近にあり、その大きさはバスケットボールほどもあった。直径約30センチメートル、まるで自然が生み出した芸術作品のように、規則正しく美しい形をしていた。それを見たとき、僕は自然の力強さと、無情とも言えるその存在に一瞬息を呑んだ。
駆除班が到着するまでには、約1時間の時間がかかった。その間、依頼主の女性は不安と恐怖を隠しきれない様子だった。しかし、僕たちが現場に到着すると、彼女はホッとした表情を浮かべてくれた。僕たちの役割は、彼女の生活からその恐怖の源を取り除くこと。慎重に、かつ迅速に作業を開始した。
駆除作業は手慣れたもので、約30分で完了した。毒針を持つ彼らの反撃を避けつつ、巣を取り外すのは、まるで命をかけたダンスのようだった。僕たち数名の作業員は、互いに目配せし合いながら、無言のうちにその動きを合わせていく。最終的に、巣を取り除いた瞬間、静寂が訪れた。周囲には、彼らの羽音ももう聞こえない。ただ、風が優しく吹き抜ける音だけが残った。
作業を終え、彼女に完了を報告すると、満面の笑みで感謝の言葉をいただいた。「また利用したいと思うほど満足」との言葉は、僕たちにとって何よりの報酬だった。費用は17000円、決して安くはないが、その価値を感じてもらえたことが嬉しかった。
僕たちの仕事は、単に蜂を駆除するだけではない。そこには生活の安心を取り戻すという重要な使命がある。自然と人間の共存、その狭間で僕たちができることは、ほんの少しかもしれない。それでも、こうして笑顔を取り戻してもらえるなら、僕たちの仕事には大きな意味があると感じる。
この度はありがとうございました。