蜂の巣駆除コラム
クマバチ(熊蜂)は、北海道や本州、四国、九州にかけて広く分布するコシブトハナバチ科の蜂です。体長は20~24mmほどと蜂としては大型ですが、温厚な性格をしており、むやみに人を攻撃することはありません。[注1]
ただし、家の近くでクマバチの巣を見つけたら、速やかに駆除する必要があります。
この記事では、クマバチの巣を駆除すべき理由や危険性、自分で巣を駆除するために必要な道具、手順、注意点を解説します。
[注1]国土交通省 東北地方整備局「クマバチ」
https://www.thr.mlit.go.jp/iwate/iport/kitakami/sizen/ikimono/inoc/kumabati.html
目次
クマバチは、英名がCarpenter Bees(大工の蜂)と呼ばれるように、木の幹や枯れ枝、建物の柱などに穴を掘って巣作りする蜂です。クマバチに巣を作られると、建物にさまざまな被害が発生するかもしれません。
ここでは、クマバチの巣を速やかに駆除すべき理由を4つ紹介します。
クマバチは、春に交尾を終えるとメスが顎で木をかじり、直径1〜2cmほどの穴を開けて巣作りを開始します。巣の内部にはたくさんの個室が作られ、奥行きが30〜40cmに達する巣もあります。[注1]
クマバチに巣を作られた場合、木材がもろくなり、柱や梁などの構造体の強度が低下する恐れがあるため、速やかに駆除しましょう。
[注1]三鷹市「クマバチ(標準和名 キムネクマバチ 黄胸熊蜂)ミツバチ科」
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/109/109898.html
クマバチには、一度作った巣穴をそのまま再利用する習性があります。数世代にわたって巣穴が拡大を続けることで、より深刻な被害につながるかもしれません。まだ巣穴が小さいうちに、速やかに駆除することが大切です。
またクマバチには強い帰巣本能があるため、追い払っただけでは巣のある場所に戻ってくる可能性があります。巣穴を詰め物などでしっかりと塞ぐ、蜂を寄せ付けないように専用の忌避剤を散布する、といった再発防止対策を取りましょう。
クマバチの巣は、放置すると木材の腐食や、シロアリによる被害を引き起こす可能性もあります。特に雨風に晒される場所に巣がある場合、巣穴から雨水が侵入し、腐食が進みやすいため注意が必要です。
また玄関の上がり框や窓の桟など、木材でできている部分や、お風呂場などの水回りの壁は、シロアリにとって格好の侵入経路となります。シロアリが発生しやすい場所を定期的にチェックし、巣穴を早期発見することが大切です。
クマバチには、スズメバチや鳥類などの天敵がいます。特にスズメバチは、クマバチの巣を襲撃し、幼虫や蛹を捕食することがあります。
クマバチの巣を放置していると、人間にとっても危険なスズメバチを引き寄せてしまうかもしれません。スズメバチは縄張り意識が強く、クマバチの巣がある場所をエサ場として認識した場合、近くにいる人を攻撃する可能性があるため危険です。
このようにクマバチの巣は、人や建物にさまざまな被害をもたらす可能性があるため、見つけたら速やかに駆除しましょう。
クマバチは大型の蜂で、羽音も大きいため、怖いイメージがあるかもしれません。しかし、スズメバチやアシナガバチといった蜂と比べ、人間に対する危険性は比較的少ないとされています。
ここでは、巣を駆除する前に知っておきたいクマバチの生態や、毒の危険性、他の蜂と比較した巣の特徴を紹介します。
クマバチは黒くてずんぐりした見た目に反して、とてもおとなしい蜂です。名前が似ているクマンバチ(スズメバチ)とよく間違えられますが、むやみに人を襲ったり、刺したりすることはありません。
クマバチのオスは、春ごろになると大きな羽音を立てて人間に近づいてくることがあります。しかし、スズメバチやアシナガバチと異なり、威嚇行動をしているわけではありません。
クマバチのオスは繁殖期になると、見晴らしの良い場所でホバリング(空中停止飛)をしながらメスを探します。このとき、動くものを見ると近づく習性があるため、人間を威嚇しているように見えるのです。
オスのクマバチには毒針がないため、まとわりつかれても刺される危険性はありません。
巣を駆除する際、クマバチに襲われるのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、クマバチはスズメバチやアシナガバチのような社会生活を営む蜂と異なり、単独性の蜂です。直接的な危害を加えない限り、巣を守ろうとして人間を攻撃することはありません。
単独性の蜂には、他にもドロバチやアナバチ、ハキリバチなどの種類がいます。これらの蜂はいずれも大型で、人に恐怖心を与える外見をしていますが、攻撃性は低いという共通点があります。
メスのクマバチは毒針を持っているため、見かけたら注意する必要があります。クマバチのオスとメスの違いは以下の通りです。
オス | メス | |
頭部 | やや小さい | やや大きい |
顔 | 顔の中心が黄色い額が狭い顎が小さい | 顔全体が黒い額が広い顎が大きい |
複眼 | 大きくて丸い | 細くて切れ長 |
行動 | 動くものを見ると近づいてくる人を刺すことはない | 巣の周りを飛んでいることが多い危険を感じると人を刺すことがある |
毒針 | ない | ある |
オス | |
---|---|
頭部 | やや小さい |
顔 | 顔の中心が黄色い/額が狭い/顎が小さい |
複眼 | 大きくて丸い |
行動 | 動くものを見ると近づいてくる/人を刺すことはない |
毒針 | ない |
メス | |
---|---|
頭部 | やや大きい |
顔 | 顔全体が黒い/額が広い/顎が大きい |
複眼 | 細くて切れ長 |
行動 | 巣の周りを飛んでいることが多い/危険を感じると人を刺すことがある |
毒針 | ある |
クマバチのメスは顔全体が黒く、顔の中心の黄色い模様がないため、近づかなくても見分けることは可能です。
クマバチの毒性は、スズメバチなどと比べると弱く、刺されても重症化するリスクは低いとされています。ただし過去に蜂に刺されたことがある場合は、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性があるため、十分に注意しましょう。
またクマバチは体が大きい分、毒針も他の蜂より太いため、刺されると強い痛みを感じる場合があります。
クマバチは前述の通り、木の幹や枯れ枝、建物の柱などに丸い穴を開け、巣作りする蜂です。巣の周辺には、木材をかじってできた木くずのようなものが落ちている場合が多く、巣の存在に気が付くこともあります。
スズメバチやアシナガバチといった危険性の高い蜂と比べると、クマバチの巣には以下のような特徴があります。[注1]
コガタスズメバチ | キイロスズメバチ | オオスズメバチ | モンスズメバチ | セグロアシナガバチ | フタモンアシナガバチ | ミツバチ | クマバチ | |
活動時期 | 5月から11月中旬ごろ | 5月から12月上旬ごろ | 5月から11月ごろ | 5月から11月ごろ | 4月から10月ごろ | 4月から10月ごろ | 4月ごろから | 3月から10月ごろ[注2] |
営巣場所 | 木の枝や人家の軒下などの開放空間 | 木の枝や人家の軒下などの開放空間の他、屋根裏や壁の中などの遮蔽空間 | 比較的大きな木の洞や、木の根などを利用した地中の遮蔽空間※通常、人家には営巣しない | 木の洞や天井裏、壁の中などの遮蔽空間の他、まれに人家の軒下などにも営巣する | 木の枝や人家の軒下などの開放空間 | 木の枝や人家の軒下、窓枠、放置してある車や自転車など、さまざまな場所に営巣する | 木の洞や人家の屋根裏、床下、墓石の中など、主に遮蔽空間に営巣するが、まれに木の枝や軒下にも営巣する | 枯れ枝や木造の家の柱、梁などに丸い穴を開けて営巣する |
巣穴の形状 | 徳利を逆さにしたような形状 | 土中に営巣するため、巣そのものはほとんど見えない | 鐘状で底が抜けた独特の形状 | ほぼ円形(円盤状)で巣上に無数の穴や白い幼虫が見える | 営巣場所により不規則な形状をしており、巣上に無数の穴や白い幼虫が見える | 六角形が無数に並んだハニカム構造 | 直径1〜2cmほどの開口部があり、内部にたくさんの個室がある |
コガタスズメバチ | |
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活動時期 | 5月から11月中旬ごろ |
営巣場所 | 木の枝や人家の軒下などの開放空間 |
巣穴の形状 | 徳利を逆さにしたような形状 |
キイロスズメバチ | |
---|---|
活動時期 | 5月から12月上旬ごろ |
営巣場所 | 木の枝や人家の軒下などの開放空間の他、屋根裏や壁の中などの遮蔽空間 |
巣穴の形状 | 徳利を逆さにしたような形状 |
オオスズメバチ | |
---|---|
活動時期 | 5月から11月ごろ |
営巣場所 | 比較的大きな木の洞や木の根などを利用した地中の遮蔽空間 ※通常、人家には営巣しない |
巣穴の形状 | 土中に営巣するため、巣そのものはほとんど見えない |
モンスズメバチ | |
---|---|
活動時期 | 5月から11月ごろ |
営巣場所 | 木の洞や天井裏、壁の中などの遮蔽空間の他、まれに人家の軒下などにも営巣する |
巣穴の形状 | 鐘状で底が抜けた独特の形状 |
セグロアシナガバチ | |
---|---|
活動時期 | 4月から10月ごろ |
営巣場所 | 木の枝や人家の軒下などの開放空間 |
巣穴の形状 | ほぼ円形(円盤状)で巣上に無数の穴や白い幼虫が見える |
フタモンアシナガバチ | |
---|---|
活動時期 | 4月から10月ごろ |
営巣場所 | 木の枝や人家の軒下、窓枠、放置してある車や自転車など、さまざまな場所に営巣する |
巣穴の形状 | 営巣場所により不規則な形状をしており、巣上に無数の穴や白い幼虫が見える |
ミツバチ | |
---|---|
活動時期 | 4月ごろから |
営巣場所 | 木の洞や人家の屋根裏、床下、墓石の中など主に遮蔽空間に営巣するが、まれに木の枝や軒下にも営巣する |
巣穴の形状 | 六角形が無数に並んだハニカム構造 |
クマバチ | |
---|---|
活動時期 | 3月から10月ごろ[注2] |
営巣場所 | 枯れ枝や木造家屋の柱・梁などに丸い穴を開けて営巣する |
巣穴の形状 | 直径1〜2cmほどの開口部があり、内部にたくさんの個室がある |
スズメバチやアシナガバチの場合、木の枝や人家の軒下など、開放空間に営巣する種類が多く見られます。オオスズメバチのように通常、人家には営巣しない蜂もいますが、目に見えるところに巣があるケースがほとんどです。
一方、クマバチは家の柱や梁の内部に営巣するため、一見するとどこに巣があるのか分からないこともあります。知らないうちにクマバチが巣作りし、建物に穴を開けられていた、というケースも珍しくありません。放置すると巣穴が広がり、家の基礎部分に影響が出る可能性もあるため、巣のある場所を早期発見することが大切になってきます。
[注1]埼玉県 川口市「ハチの巣の形・特徴」
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01090/seikatueiseika/suzumebachi/21351.html
[注2]国土交通省 東北地方整備局「クマバチ」
https://www.thr.mlit.go.jp/iwate/iport/kitakami/sizen/ikimono/inoc/kumabati.html
クマバチの巣を発見したら、被害が拡大する前に速やかに駆除しましょう。ここでは、自分で巣を駆除するために必要な道具や手順、注意点を紹介します。
クマバチは攻撃性が低いとはいえ、刺激すると刺される可能性があります。クマバチの巣を駆除する前に、ホームセンターなどで以下のものを準備しましょう。
用意するもの | 主な用途や注意点 |
防護服 | 防護服を着用し、できるだけ肌を露出しないようにする作業服やレインコートなど、厚手の服でも代用可ただし、蜂は黒色に反応するため、黒っぽい色の服装は避ける |
長靴 | クマバチは地面近くに巣を作ることが多いため、長靴で足元を保護する |
手袋 | 厚手のゴム手袋や軍手を着用し、手を保護する |
ゴーグル | クマバチが目を狙ってくることがあるため、必ず着用するマスクやヘルメットなども身につけておくとより安全性が高まる |
殺虫剤(殺虫スプレー) | 蜂専用のもの殺虫剤か殺虫スプレーを用意する巣穴に近づかずに駆除できるため、噴射距離の長いものがおすすめ |
懐中電灯 | 巣の駆除は夜間に行うことが望ましいため、光源を確保するクマバチを刺激しないため、赤色のセロハンを貼っておく |
ピンセット | 巣穴からクマバチの死骸や幼虫、蛹などを取り除く際に使用する巣穴が深くピンセットが届かない場合は、ハンディクリーナーで吸い取る |
木工用パテ(コーキング材) | 巣の内部をきれいに清掃した後、穴を塞ぐために使用する |
掃除用具 | 巣の周辺を清掃するため、ほうきやちりとり、ゴミ袋などを用意しておく |
用意するもの | |
---|---|
防護服 | 防護服を着用し、できるだけ肌を露出しないようにする。作業服やレインコートなど厚手の服でも代用可。ただし蜂は黒色に反応するため、黒っぽい服装は避ける。 |
長靴 | クマバチは地面近くに巣を作ることが多いため、長靴で足元を保護する。 |
手袋 | 厚手のゴム手袋や軍手を着用し、手を保護する。 |
ゴーグル | クマバチが目を狙ってくることがあるため必ず着用。マスクやヘルメットも併用すると安全性が高まる。 |
殺虫剤(殺虫スプレー) | 蜂専用の殺虫剤またはスプレーを用意。巣穴に近づかずに駆除できるため、噴射距離の長いものがおすすめ。 |
懐中電灯 | 巣の駆除は夜間に行うのが望ましいため光源を確保。刺激を避けるため赤色のセロハンを貼る。 |
ピンセット | 巣穴から死骸や幼虫・蛹を取り除く際に使用。届かない場合はハンディクリーナーで吸い取る。 |
木工用パテ(コーキング材) | 巣の内部を清掃後、穴を塞ぐために使用する。 |
掃除用具 | 巣周辺を清掃するため、ほうき・ちりとり・ゴミ袋などを準備。 |
クマバチの巣を自分で駆除するときの手順は以下の通りです。
まずは安全を確保するため、巣穴に向かって殺虫剤や殺虫スプレーを噴射しましょう。クマバチが出てきても、慌てずに噴射を続けてください。
クマバチが出てこなくなったら、巣穴の内部を確認し、ピンセットやハンディクリーナーで死骸を除去します。巣に幼虫や蛹がいる可能性もあるため、きれいに内部を清掃しましょう。内部を清掃する前に巣穴を塞ぐと、死骸が腐敗して木材が劣化する恐れがあります。
その後、木工用パテまたはコーキング材で巣穴を密閉し、巣の周辺をきれいに清掃しましょう。クマバチの死骸は、燃えるゴミとして処理できる場合がほとんどです。ただし、自治体によって分別ルールが異なる可能性があるため、事前に確認してください。
自分でクマバチの巣を駆除する際は以下の点に注意しましょう。
巣の駆除は、クマバチの活動量が低下する日没後の時間帯に行うのがおすすめです。日中に駆除作業を行うと、クマバチの抵抗が強まる他、クマバチが巣におらず、戻ってくる可能性もあります。
またクマバチは香りの強いものに反応するため、駆除作業中は香水や香り付きの整髪料などの使用を避けましょう。
駆除作業が終わったら、巣のあった場所に蜂用の忌避剤を散布しておくことも大切です。クマバチの優れた嗅覚を利用し、家の近くに寄り付かないようにする効果が期待できます。
自分で対処するのが難しい場合は、蜂の巣駆除の専門家に相談しましょう。
クマバチの巣は建物の内部に作られるため、市販の殺虫剤や殺虫スプレーでは、有効成分が奥まで届かない可能性があります。またクマバチを駆除できても、死骸や幼虫、蛹をピンセットなどで除去しきれないことも多く、木材が腐食する原因になりかねません。
クマバチが営巣した場所や巣穴の大きさによっては、駆除作業後にリフォーム工事が必要となる場合もあります。プロの駆除業者に依頼すれば、被害の程度を正確に見極め、リフォームに向けたアドバイスをもらうことも可能です。
クマバチの巣は、放置すると家の構造体が劣化したり、腐食やシロアリ被害に遭ったりする恐れがあります。巣穴が拡大する前に早期発見し、速やかに駆除することが大切です。
クマバチは温厚な性格をしており、スズメバチやアシナガバチなどと比べると危険性は低いものの、駆除作業中に刺される危険性があります。防護服などを準備して、十分に注意しながら駆除作業を行いましょう。
クマバチの駆除でお困りなら、「蜂の巣駆除PRO」にご相談ください。蜂の巣駆除PROでは巣の駆除はもちろん、忌避剤などを用いた再発防止対策も徹底しています。万が一、蜂の巣が再発した際は無料にて対応させていただくため、お気軽にお問い合わせください。