チャイロスズメバチ
チャイロスズメバチの巣駆除
天井裏の小さな空間
24,000円
わたしが入間市扇町屋の静かな住宅街に駆けつけたのは、雨がぱらつく秋の朝のことでした。空には灰色の雲が広がり、涼しさが肌を撫でるような、まるで自然自体が静かな警告を発しているかのような天気でした。お客様のお宅の天井裏に潜む敵、チャイロスズメバチの巣を駆除するため、わたしはすぐに準備を整えました。
チャイロスズメバチ。彼らは一見すると優美な茶色と黒の縞模様をまとい、その姿には自然が作り出す芸術性すら感じられます。しかし、その美しさの裏には強力な毒針と攻撃性が潜んでいます。特に彼らの巣が危険にさらされると、集団で襲いかかることもあり、わたしたち人間にとっては注意が必要な存在です。
お客様は50代の女性で、既婚ですがお子様はいらっしゃらないとのこと。彼女の顔には不安の色が浮かんでいましたが、わたしが到着すると、少し安堵したような表情を見せてくれました。駆除の依頼を受けたのは「ちょっと前」とのことでしたが、天井裏での発見時には既に巣はバスケットボールほどの大きさに成長していました。直径約30センチという大きさは、チャイロスズメバチの営巣力を如実に物語っています。
作業を開始して40分ほどが経過し、ついにその巣は完全に駆除されました。駆除の間、わたしは巣の中で忙しく動き回る蜂たちの姿を見つめながら、彼らが築き上げたこの小さな世界が、どれほどの努力と本能の結晶なのかを考えていました。彼らの巣作りは、自然界の中での生命を繋ぐための必死の営みであり、人間社会の中でのそれとは異なる、まさしく自然の摂理そのものです。
駆除が終わった後、お客様に結果を報告しました。彼女は細かな不満点をいくつか挙げましたが、全体的には満足しているご様子でした。費用は24,000円と決して安くはありませんが、彼女の心の平穏が守られたことを思えば、必要な投資であったと感じていただけたようです。
この経験を通じて、わたしは改めて蜂という生き物の複雑さと、その生態系での役割について思いを馳せました。彼らは時に厄介者とされますが、その存在が自然のバランスを保つ一部であることを忘れてはいけません。今回の経験が皆さまの記憶に残れば幸いです。